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【事例】正社員・パート社員を問わず、 皆で助け合う組織風土を醸成し、日本の人形文化を継承していく企業

働き方改革
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社員の約半数が会社を去ることに

東京都中央区の株式会社ふらここは、ひな人形や五月人形を始めとする日本人形の製造・販売を行う企業である。同社は2008年に設立後、赤ちゃん顔のかわいらしいデザインや、飾る場所を選ばないコンパクトなサイズ感が若い子育て世代にヒットし、2014年9月期には売上高2億円を超えた。しかし、例年11月から4月までの繁忙期に部署間での業務量の偏りが生じる中で、人事評価や労働時間に対する不満が生まれ、2014年当時の社員の約半数が退職。社員と向き合う重要性を痛感した原英洋社長は、正社員・パート社員を問わず残った全員と話し合い、不満を解消し、生き生きと働ける環境づくりに向けて、まずは新たな人事制度を整備することに決めた。

「皆が納得できる」人事制度の整備を起点に、社内の雰囲気が変化

2015年、原社長は社内から希望を吸い上げた結果、「皆が納得できる評価であること」を人事制度の中心に据えることとした。評価制度は職務別に、社内コミュニケーションやチームワーク、職場・仕事への愛など5項目の求められる行動について評価する「職務行動評価」と、等級別に、使命感行動やチャレンジ力など5項目の求められる能力について評価する「資格能力評価」の二つの基本構成にした。また、雇用形態によらず社会保険への加入や賞与の支給、退職金規定なども整備。外部の専門家の助言も参考にしつつ、社内全員が納得感を持った形で約1年3か月を掛けて人事制度を構築した。
人事制度策定の過程で、各部署の業務内容の棚卸しを実施したことで、各部署間の相互理解につながり、部署をまたいだコミュニケーションが活発となった。社内の雰囲気の変化を実感した原社長らは、「人事制度を機能させるには、更なるコミュニケーションの円滑化が欠かせない」と考えた。そこで、閑散期に、全社員で自分達が取り組んでいる業務内容を互いに情報共有し意見交換する社員総会を開催することにした。部署間のみならず、正社員・パート社員に求められる役割の違いを互いに理解し、尊重し合うことにもつながった。そのほかにも、業務マニュアルやパート社員向けの作業標準書、Dropboxなどを活用した情報共有の仕組みも作り、一部の社員に業務が集中しないよう、カバーし合える体制づくりを行った。「社内の距離感が次第に近くなり、互いに協力し合う習慣・雰囲気が醸成されていった。」と経営企画部の小川真奈課長代理は振り返る。現在同社では、出荷が集中する時期に物流部を手伝うことや、顧客からの問合せ対応に販売部以外の社員もヘルプ対応することが一般的となっている。社内で協力し業務を分散させたことや業務効率化の効果もあり、正社員一人当たりの月平均残業時間は3年連続で10時間以内に抑えることにも成功。連携の意識が高まったことで部署の垣根を越え、顧客の声を更に反映できるようになり、2020年9月期の売上高は5.9億円と過去最高を更新した。

子供たちのひな人形・五月人形を手にした笑顔が見たい

同社の変革が実現した最大の要因は、正社員・パート社員を問わず「ひな人形・五月人形を手にした子供たちが笑顔になる姿を見たい」との思いが一致していたからと原社長は語る。自社ECサイトやSNSに投稿された顧客の声を社内で共有することにより、同社の一員としての自覚・責任感の醸成につながっている。社員の幸せを実現することを経営理念に掲げる同社は、社員一人一人と思いを一つに、日本の伝統文化の継承を担っていく。

同社の五月人形を手にする様子
同社のひな人形
全社員が参加し、顧客の声・写真を共有するふらここフォトコンテスト

所在地:東京都中央区

従業員数: 29名

資本金:500万円

事業内容:その他の製造業