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事例から学ぶ!「どうすればいいの?人手不足」

働き方改革
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いま多くの中小企業・小規模事業者が、深刻な人手不足に直面しています。その背景には、わが国の少子高齢化という構造的な問題があるため、今後も人手不足は続くことが考えられます。

また、若者の大企業志向が高まりや離職率の増加があり、中小企業・小規模事業者にとっては人材の確保がさらに難しくなっている状況です。
今回は、いくつかの事例を通じて、中小企業・小規模事業者が人手不足の課題を解決するためのポイントについてご紹介します。

人手不足イメージ

人材確保には、「組織・業務」「求人像」「職場環境」の見直しが重要

中小企業・小規模事業者の方から、「ハローワークなどに求人募集を出しても、なかなか人材が確保できない」という話をよく聞きます。なかには、「ウチは採用をあきらめた」という企業もあります。
いくら一生懸命な採用活動に取り組んだとしても、それだけで人手不足を解消することはできません。人材確保のためには、経営課題を見つめ、組織・業務を見直し、求人像を明確にし、職場環境を整備することが必要になります。
今回は、ミラサポplusの「事例ナビ」から、「組織・業務」「求人像」「職場環境」を見直したことで、人材確保に成功した事例をご紹介します。

①経営課題を明確にして、「組織や業務」を見直す

事業者のみなさんが、人材確保を考える理由は何でしょうか。「1名辞めたから、新たに1名雇わなくてはならない」と、反射的に考えているだけではありませんか。
人材確保は、現在の経営課題を解決するためのものです。経営課題を解決しないまま、人材を新規雇用しても、すぐに離職してしまうかもしれません。

逆に考えると、人を確保しなくても課題が解決できるのならば、新規雇用の必要はありません。組織体制や業務を見直すことで、人手不足が解消できれば良いのです。
山梨県のある旅館は、旅館業特有の「中抜け勤務(勤務と勤務の間に長時間休憩があるシフト)」のため勤務時間が長く休みが不規則でした。これを解決するために、接客・フロント・内務等の部署を「サービス部」に統合して、従業員が複数の業務を行うマルチタスク化をすすめ、効率的に働ける環境を整備。これにより人手不足がカバーできただけでなく、勤務時間の短縮・年間休日の増加につながり、結果として求人への応募者も増えました。

社員のマルチタスク化によって、中抜け勤務が削減し、年間休日数も増加。社員の満足度が向上。

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人手の必要な食事提供業務を社員全員で行う等のマルチタスク化により、旅館業特有の「中抜け勤務」を原則廃止し、早番、中番、遅番のシフト制で対応する仕組みを構築。 これらの取組により、社員の満足度が向上するとともに、お互いの業務をカバーできる体制となり、年間休日数が増加。

業務を見直して人材不足の解消につなげた例は、他にもあります。沖縄県のある建設会社は、長時間労働を改善するために、社内の受注基準を見直して、収益の高い案件や工期に余裕がある案件を選別して受注することにしました。これにより従業員負担を軽減し、人手不足をカバーしています。

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案件の収益性や工期を吟味するよう受注基準を見直し、高効率・高収益の案件や工期の長い案件を選別して受注。 また、業務を細分化し、時短で働きたい人材を活用することで、社員の負担軽減を図り、残業時間を削減。女性が働きやすい環境を整備したことで、離職率が低減。

なぜ、従業員が辞めたのか。人材確保のためには、その理由を正しく把握することが大切です。背景には、目に見えない重要な経営課題が隠れているかもしれません。まずは経営課題を見つめ直し、業務や組織を改善することで、人手不足の解消につなげていきましょう。

②固定概念にとらわれず、「求人像」を見直す

経営者自身が、「この業務は経験が必要」「この業務はフルタイムの男性」「力仕事だから若い男性」のように決めつけていませんか。これにより求人の幅を狭め、人手不足に陥っている可能性もあります。業務の見直しとあわせて、求人像(求人条件)も見直すことで、人材が確保できる可能性があります。

たとえば、力仕事が必要な業務を切り分けたり、機械化したりすれば、女性やシニアもできるようになるかもしれません。また、一つの業務を細分化して短時間勤務でも対応できるようにすれば、パートタイム人材を求人に含めることができます。
香川県のある繊維工業メーカーは、中核人材の不足に悩んでいました。そこで、業務内容・労働条件を見直し、高度な専門知識をもつシニア人材を積極的に雇用することで、専門知識のある人材確保と技能継承を進めています。

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高度な技術を維持するため、無期限再雇用や柔軟な働き方で、シニア人材が長く働き続けられる職場づくりを推進するとともに、シニア人材から社内の若手への技術伝承による中核人材育成にも着手。

採用時に経験の有無を問わないことにすれば、人材を確保できる可能性は広がります。
滋賀県の情報システム会社は、提案営業ができるシステムエンジニアの人材確保に苦戦していました。そこで、前職や経験にとらわれるとなく、人物重視の採用方針に切り替えて、就職氷河期世代の人材採用に成功しました。
入社後の教育研修を充実させることで、やる気のある未経験の人材を戦力化することも考えましょう。

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合同企業説明会では、求職者の前職の雇用形態にとらわれることなく、人柄を最優先として、一人一人の人物をしっかりと理解した上で採用する方針。その結果、就職氷河期世代のシステムエンジニアの採用に成功。 提案営業ができるシステムインテグレーター(SIer)として定着できるよう教育を実践中。

③働く人の目線から「職場環境」を見直す

採用活動をしても応募者が少ないと悩む経営者も多いと思います。理由の一つに、働く人の目線に立った情報発信ができていないことがあるかもしれません。

合羽やエプロンを製造販売している愛知県の会社は、大卒の新規採用に苦労していました。そこで企業ホームページを一新して、従業員の人柄の良さや女性従業員の活躍にフォーカスしたリクルート用のページを作成しました。
また、女性の多様なライフステージに対応した独自の制度を整備し、「働き続けられる」環境づくりをすすめ、このことをアピールすることで、採用者を増やしています。

ホームページのリニューアルで、「女性目線で働きやすい職場」のアピールに成功。

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女性の多様なライフステージに対応した制度を整備するとともに、ホームページを一新し、採用応募者に向けて社員の人柄や女性社員の活躍など「女性目線で働きやすい職場」をアピール。ニッチな業界ながら採用応募数が増加。 大卒の採用段階で、社員や社長とじっくり対談することで、入社後のミスマッチを防ぐよう工夫。

コロナ禍によりテレワークが広がるなど、働き方が多様化しています。多様な働き方に対応した職場環境の整備も、人材確保には求められます。
新潟市にある捕獲器・散水ノズルなどのメーカーは、従業員のほとんどが女性。結婚、妊娠、出産、育児、介護などにより離職するケース多く、定着が課題でした。これを解決するために、多能工化とテレワークをすすめ、お互いが業務をカバーできる体制をつくりました。これより、定着率を高めることに成功しています。

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小規模な会社ながら、多能工化を推進し、テレワークを導入。有給休暇制度も拡充。 業務を相互にカバーできる体制になったことで、休みを取りやすい雰囲気が醸成。また、社員(全員女性)が働きやすい環境となり、定着率も向上。

働き方の多様化に対応したことで、高度な専門性をもつ人材の採用に成功した企業もあります。秋田県のある化学メーカーは、化学系の研究者を採用するために、オンラインでの採用活動をすすめました。これとあわせて、在宅ワークやシェアオフィス勤務など多様な勤務体制を整備することで、専門人材を確保することができました。

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高度専門人材には、事実と熱意、経営ビジョンへの共感が肝! 情勢やニーズにあわせて、在宅ワークなど働き方を多様化したことで、専門人材を採用。

人材確保のための5つのステップ

いままで見てきたように、人材を確保するためには、経営課題を見つめ、業務を見直し、求人像を明確にし、働きやすい職場環境を整備していくなど、総合的な取り組みが欠かせません。
「中小企業・小規模事業者人手不足対応ガイドライン」では、中小企業が人材確保のために行うべきことを、以下の5つのステップで整理しています

STEP1
経営課題を見つめ直す
原点に立ち戻り、経営課題を見つめ直す

下矢印

STEP2
経営課題を解決するための方策を検討する
経営課題を解決するため、業務を見直した上で、経営資源の融通や経営課題への対応策を考える

下矢印

STEP3
求人像や人材の調達方法を明確化する
求人像を明確化し、人材の調達方法(外部調達か、社内での登用・育成か)を検討する

下矢印

STEP4
求人・採用/登用・育成
求人・採用/登用・育成など、人材に関する取組を実施する

下矢印

STEP5
人材の活躍や定着に向けたフォローアップ
採用した人材や社内人材の活躍や定着に向けて、フォローアップ(能力開発や職場環境の見直し等)を行う

そして、この5つのステップを踏まえて、中小企業の人手不足解消を目的とした「人材確保支援ツール」を開発しています。
人材確保支援ツールでは、設問に回答していくことで、経営課題を抽出したうえで、人材活用の方針を立てることができます。支援者・支援機関等と、経営課題や人材活用方針を共有するためのツールとして、ぜひ活用してください。