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中小企業庁担当者に聞く「事業承継・M&A補助金(令和6年度補正)」

補助金虎の巻
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「事業承継・M&A補助金」は、中小企業・小規模事業者等の事業承継やM&Aに際して行う設備投資、経営資源の引継ぎ、引継ぎ後の経営統合等を支援する補助金です。

令和7年度(令和6年度補正)より、事業承継・引継ぎ補助金から「事業承継・M&A補助金」に名称変更となり、第12回公募から4つの枠で公募が開始されます。

制度の内容が大きく変わった事業承継・M&A補助金のポイントについて、中小企業庁の担当者にお話をうかがいました。

事業承継・M&A補助金 イメージ

名称も内容も大きく変わった、事業承継・M&A補助金

事業承継・M&A補助金は、「事業承継・引継ぎ補助金」の後継となる補助金です。中小企業・小規模事業者が円滑に経営資源を引き継ぐことや、成長戦略としてのM&Aを実現することを後押しします。

令和6年度補正では、補助金の名称変更に加え、補助上限額の引き上げや、新たな支援枠の創設など、制度全体が見直され、より使いやすく、実態に即した内容に変わりました。

事業承継・M&A補助金には、「事業承継促進枠」「専門家活用枠」「PMI推進枠」「廃業・再チャレンジ枠」の4つの枠があり、それぞれ支援対象となる事業者や補助対象経費が大きく異なります。

今回は4つの枠について、そのポイントを説明します。なお、補助金の詳細については、最新の公募要領を必ずご確認ください。

事業承継促進枠:承継前の会社の「磨き上げ」を支援

事業承継促進枠は、今後5年以内に親族や従業員への事業承継を予定している事業者を対象とした枠です。

「事業承継促進枠」では、事業を引き継ぐ前に企業価値を高めるために行う取り組み、会社の「磨き上げ」支援対象となります。たとえば、老朽化した設備の更新による生産性の向上や、デジタル化(DX)の導入による業務の効率化、後継者が主体となって行う新商品や新サービスの開発に資する外注費・委託費などが対象です。

承継前の会社の「磨き上げ」を支援 イメージ

この枠では、円滑な事業承継の促進が目的であることから、現経営者と後継者等が作成した「事業承継計画書」の提出が必須となっています。これにより、承継前の準備を着実に進めながら、将来の成長につなげる取り組みを行い、円滑な事業承継につなげていきます。

また、一定の賃上げを実施する場合には、補助上限額が通常の800万円から1,000万円に引き上げられる特例も設けられています。

■事業承継促進枠の要件・補助上限額・補助率・対象経費

項目 概要
要件(対象事業者) 5年以内に親族や従業員への承継を計画している事業者
補助上限額 800~1,000万円
※一定の賃上げを実施する場合は上限を1,000万円に引き上げ
補助率 1/2・2/3
※中小企業者等のうち、小規模事業者に該当する場合は2/3
補助対象経費 設備費・産業財産権等関連経費・謝金・旅費・外注費・委託費

専門家活用枠:M&A時のDD費用の補助を拡充

「専門家活用枠」は、M&Aを通じた経営資源の譲渡(売り手)または譲受(買い手)を行う事業者を対象とした枠です。この枠には「買い手支援類型」と「売り手支援類型」の2つがあり、M&Aに係る専門家を活用する際の費用を支援します。

具体的には、FA(フィナンシャル・アドバイザー)やM&A仲介会社に支払う成功報酬などが補助対象です。ただし、補助の対象となるのは「M&A支援機関登録制度」に登録されたFAや仲介業者に限られるため、事前の確認が必要です。

M&A時のDD費用の補助を拡充 イメージ

今回の制度改正により、DD(デュー・ディリジェンス、対象企業である売り手側における各種のリスク等を精査するため、主に買い手が会計・法務・税務等の専門家に依頼して実施する調査)の費用を申請する場合、補助上限額に追加で200万円が上乗せされるようになりました。これにより、より多くの事業者がDDを活用しやすくなり、M&A成立後のトラブルを防止につながることや、PMIに資する有益な情報を取得することが期待されます。

「買い手支援類型」では、将来的に売上高100億円規模の企業を目指す事業者向けに、「100億企業特例」が新設されました。この特例では、補助上限額が最大2,000万円に引き上げられます。特例の適用を受けるには、「100億企業成長ポータル」での「100億宣言」や、10年以内に売上高100億円を目指す具体的な「事業計画書(数値目標を含む)」の提出等が必要です。

このように専門家活用枠は、M&Aをより確実に、効果的に進めるための支援制度となっています。

■専門家活用枠の要件・補助上限額・補助率・対象経費

項目 概要
要件(対象事業者) 補助事業の期間に経営資源の譲渡または譲受を行う事業者
補助上限額

買い手支援類型:600~800万円

※DD費用の申請がある場合には、600万円に200万円を加算する

2,000万円

※100億企業要件を満たす場合(100億企業特例)

売り手支援類型:600~800万円

※DD費用の申請がある場合には、600万円に200万円を加算する

補助率

買い手支援類型:1/3・1/2、2/3

※100億企業要件を満たす場合:1,000万円以下の部分は1/2・1,000万円超の部分は1/3

売手支援類型:1/2、2/3

※①赤字②営業利益率の低下(物価高影響等)のいずれかに該当する場合2/3

補助対象経費 謝金・旅費・外注費・委託費・システム利用料・保険料

PMI推進枠:M&A後の統合効果の最大化を支援

PMI(Post Merger Integration)とは、M&Aの成立後に行われる「経営・業務・企業文化等の統合」のための取り組みであり、その目的は統合による相乗効果(シナジー)の最大化です。

M&A後の統合効果の最大化を支援 イメージ

PMI推進枠は、M&Aを実施した買い手企業が、M&Aクロージング日から1年以内にPMIに取り組む場合に、その活動を支援するものであり、2つの類型で構成されています。

●PMI専門家活用類型
M&A後の統合段階で生じる経営課題に対して専門家(中小企業診断士、公認会計士、税理士、社会保険労務士など)を活用する際の費用を補助するものです。具体的には、財務・会計・税務処理方針の統一、人事制度の見直し、業務フローの見直しに関するコンサルティングなどでの専門家活用が考えられます。
●事業統合投資類型
統合効果を高め、事業を一体的に運営するための設備やシステムへの投資を補助します。具体的には、共通業務に対応した機器・設備の導入、生産ラインの再編による効率化、販売管理や財務管理システムの統合などが挙げられます。
PMI推進枠は、M&Aの“その後”をサポートする制度であり、買い手企業が円滑に経営統合を進め、持続的な成長につなげるための支援枠となっています。

■PMI推進枠の要件・補助上限額・補助率・対象経費

項目 概要
要件(対象事業者) M&Aの成立後に、経営・業務・企業文化の統合(PMI)に取り組む事業者
補助上限額

PMI専門家活用類型:150万円

事業統合投資類型:800~1,000万円

※一定の賃上げを実施する場合、補助上限を1,000万円に引き上げ

補助率

PMI専門家活用類型:1/2

事業統合投資類型:1/2・2/3

※中小企業者等のうち、小規模事業者に該当する場合:2/3

補助対象経費 設備費・外注費・委託費等

廃業・再チャレンジ枠:新たなチャレンジをサポート

「廃業・再チャレンジ枠」は、M&Aによって事業を譲り渡せなかった中小企業者等の株主や個人事業主が既存事業を廃業し、新たな事業活動に挑戦したり、社会貢献等をおこなうなど新たな取組を実施する事業者を対象とした枠です。

新たなチャレンジをサポート イメージ

たとえば、代表者が別法人を設立し別の事業にチャレンジするため、運営していた事業を廃業するための費用、自身の知識や経験を活かせる企業への就職をするため、事業所の解体・撤去費用などが対象となります。新たなチャレンジを後押しするために、既存事業の廃業を支援します。

また、廃業・再チャレンジ枠は、事業承継促進枠、専門家活用枠、PMI推進枠と併用申請が可能です。これにより、事業承継・事業統合・統合後の体制整備まで、一貫した支援を受けることができます。

■廃業・再チャレンジ枠の要件・補助上限額・補助率・対象経費

項目 概要
要件(対象事業者) 事業承継やM&Aの検討・実施等に伴って廃業等を行う事業者
補助上限額

150万円

※事業承継促進枠・専門家活用枠・事業統合投資類型と併用申請する場合、それぞれの補助上限に加算

補助率

1/2・2/3

※事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠と併用申請する場合、それぞれの補助率に従う

補助対象経費 廃業支援費・在庫廃棄費・解体費・原状回復費・リースの解約費・移転移設費用(併用申請の場合のみ)

円滑な事業承継のために、早めの準備・計画づくりを

ここまで「事業承継・M&A補助金」について説明してきましたが、事業承継には多くの準備と課題が伴います。

経営を引き継ぐには、5年から10年かかることもめずらしくありません。親族内承継であれば、後継者を育てるための時間も確保する必要があります。また、株式や出資の引継ぎ、借入金や個人保証の整理、税金や贈与に関する対策など、法務・財務面での手続きも多く発生します。これらを適切に進めるためには、専門的な知識が求められます。

「事業承継・M&A補助金」の活用の前に、事業承継を検討し始めた段階で、金融機関や顧問税理士などの支援機関に相談することをおすすめします。

また、事業承継の公的な相談窓口の一つが、中小企業庁が全国に設置している「事業承継・引継ぎ支援センター」です。センターでは、親族内承継(従業員承継)、第三者承継(M&A)に関するアドバイス、M&Aのマッチング支援や事業承継計画書の作成支援など、事業承継に関する様々なサポートを受けることができます。円滑な事業承継のために、ご利用をご検討ください。

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