コロナ禍で頑張る中小企業シリーズ(徳島県・カフェ)
- 2020年12月16日
- その他情報
- 最終更新日:2021年04月16日
(中小企業庁 稲垣)
事業者のみなさま
標記の件、下記のとおり、コロナ禍で頑張る徳島県の中小企業をご紹介いたします。
コロナ禍で頑張る事業者のみなさまの参考になれば幸いです。
(中小企業庁・中小機構連携記事)
記
ネット注文やオンライン通販、いちはやい準備が奏功!(徳島県徳島市)
KOFS(カフス)本店
KOFSのスタッフと、後列左端が澳津美菜 社長
企業データ
- 企業名:株式会社KOFS(カフス)
- Webサイト:
- 設 立:2017年8月1日
- 代表者:澳津美菜 氏
- 所在地:徳島県徳島市八万町犬山233-6
1.コロナでどのような影響を受けましたか
人気集めるテイクアウトメニュー
徳島県徳島市八万町でカフェKOFS(カフス)徳島本店、カフェKOFS阿南店、本店に隣接する焼き菓子とアイスクリームのTHE PLAIN SWEETSの3店舗を展開している。大学生のころ、いつか自分の店を持ちたいと決意し、21歳から準備を始め、就職はせず故郷の徳島に戻り24歳でカフェを開業した。
創業は2007年4月。当初は20代の女性をターゲットにしていたが、自身の出産を機に子育て中の30代主婦をターゲットに「日常に彩りを」をテーマに食事メニューのほかカフェやスイーツを提供した。
徐々に店舗を増やし、2017年8月に株式会社化し、テイクアウトも強化。誕生日などの記念日向けに予算に合わせてオードブルやオリジナルケーキ、弁当を提供した。子育て家族が集まるきっかけや絆づくりを心がけたら、幅広い年代の女性客が来店してくださり賑わった。新型コロナウイルス感染症が流行する前は店内での飲食とテイクアウトの両方で売り上げを伸ばし、スタッフもパートやアルバイトを含め約40人を抱えるまでになった。
だが、コロナ感染が広がり、毎日繰り返される感染報道でお客様もスタッフも新型コロナウイルスに対する不安が募っていった。4月の外出自粛要請で、店を開けていても客足が遠のき、1日の来店客数は急減。売上も4月は前年同月比60%に落ち込み、5月は休業し同36%まで落ち込んだ。危機打開のため資金繰りに走り回った。2店舗が持ち店舗で家賃負担は軽減されたが、スタッフの休業保証を行った際の雇用調整助成金がなかなか下りず、従業員への賃金確保に苦慮した。
2.どのような対策を講じましたか
記念日向けのオリジナルケーキ
窮地を救ったのはテイクアウトのネット注文だった。
コロナ前まではテイクアウト注文は電話でリアル対応していたが、それだと店の定休日や営業時間外のオーダーを取ることができない。またスタッフが1回の注文に対応するのに約5分を要するので、注文を受けるにはそれなりの人数も必要だった。
そんな課題を解決するため、今年2月、中小機構(四国本部)が主催したIT勉強会に参加。テイクアウトのネット注文のノウハウを習得し、勉強会の成果を活かしてSNS投稿を強化して周知を図るなど準備を進めていた。
満を持して3月からネット注文を始めたら、コロナが顕在化。コロナ感染を恐れるお客様には利用しやすかったようで、おうち需要の高まりとともに需要が急増。今年5月のテイクアウト売り上げは前年同月比で10倍も売上を伸ばした。
テイクアウトメニューでとくに力を入れたのは日常使いの商品とハレの日を彩る商品のメリハリだった。日常使いでは家族のためにご飯だけ炊けばいい「おかずBOX」2人前1000円を売り出したところ好評を得た。ハレの日向けでは特別感を演出するオードブルもおうち時間にぴったりだった。このあたりは店舗運営の傍ら2男1女を子育て中の自分の経験が生きたと思う。
事前準備はオンライン通販でも奏功した。今年2月からインスタグラムで自社オリジナルのアイスケーキをPRしており、リンク先のECサイトから徐々に注文が伸びた。6月にはコロナ禍で売れずに廃棄処分になってしまう牛乳をメーカーから引き受け、アイスクリームに加工、「おうちアイス」と名付けてSNSでオンライン販売を始めたら、1日で300個が売れた。店舗受け取りの各種ケーキの予約も、手数料無料のGoogleフォームを使って予約ができるようにしたところ、ホールケーキの注文数はコロナ前の10倍になった。
自粛期間を利用して固定費と変動費の見直しも徹底的に行った。
この経費は必要か不必要か、在庫を持ちすぎてはいないか、ロスはどれくらい出ているか、社員を中心に協議し、仕入の部分のムダをなくす意識を高めていった。
労務関係や設備面でも、自治体の補助金や助成金を活用してスタッフの給与を確保し、社員さんの所得を減らすことなく店舗の時短営業を行っている。学生アルバイトや育児中のパートのママさんにも給料を保証し、しっかり休む体制をつくるなど労務面もしっかり取り組んだつもりだ。
3.今後はどのように展開していく予定ですか
KOFSのスタッフと、後列左端が澳津美菜 社長
店舗内のイートインで売上が難しくなった分をテイクアウトと通販で補い、結果的に事業領域の幅を増やすことができた。いまはテイクアウト部門が好調で本店の売り上げは前年同期比110%と好調だ。
ただ売り上げが戻りつつあった矢先、阿南店は8月に近隣でコロナのクラスターが発生してから売り上げが伸び悩んだ。本店のテイクアウト売り上げとオンライン販売でマイナス分を補っている形だ。
今後、店舗展開の方針を変え、来年からコロナ後に加速した食の様々な変化に応えていく。テイクアウト部門では要として13坪の小規模店舗を出店する。お客様の生活圏から半径2キロメートルに位置し、“地域の食の困りごと”を解決する店だ。私の原点である「こんなのあったらいいな」を詰め込んだ地域密着店舗を展開する。
通販部門では、アイスクリームのギフト商品を中心にして、中元・歳暮やバレンタイン、クリスマス、母の日などの各種イベントを彩る商品を開発し、販路拡大をねらう。カフェではテイクアウトだけでなくイートインでも原点に戻り、お客様の声を大切に店舗ならではの温かさや冷たさを大切にした料理やスイーツを提供し、店舗にくる楽しさ、ワクワクさ、非日常感を提供していく。これから3年で事業内容をイートイン、テイクアウト、通販の3本柱にしていくつもりだ。
引き続き、コロナ終息までは感染対策を徹底して行う。検温、アルコール消毒、マスク着用、お客様の顧客管理を行い、いつでもスタッフが休める状況もつくっていくために営業と労務両方から取り組んでいく。働くことを通じて輝き、スタッフはもちろん、お客さまにも「KOFSがあって良かった」と言っていただける店にしていきたい。
最後までお読みいただきありがとうございました。