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中小企業庁長官 令和7年 年頭所感

  • 2025年01月01日
  • その他情報
  • 最終更新日:2024年12月25日
 

令和7年という新しい年を迎え、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。

 

 

昨年は、元日の能登半島地震をはじめとする数多くの自然災害に見舞われた年でした。これらの災害で亡くなられた方々に改めて哀悼の意を表するとともに、被災されている方々に心よりお見舞いを申し上げます。中小企業庁といたしましては、引き続き、被災された事業者の皆様に寄り添いながら、生業の再建に全力を尽くしてまいります。

 

さて、日本経済は、足下において企業の賃上げが加速しつつあり、国内投資も30年ぶりの高い水準になるなど、「潮目の変化」ともいうべき兆しが見られています。この変化をしっかりと後押しすることで、デフレ経済から脱却し、成長と分配の好循環が力強く回っていく「賃上げと投資が牽引する成長型経済」へ移行できるのか、まさに今、正念場を迎えています。それを支えていくのは、日本の雇用の7割、付加価値の5割以上を占める中小企業・小規模事業者の皆様です。これからの日本経済が持続的な成長を果たすためには、まさに経済の骨格である中小企業・小規模事業者の皆様が主役となっていかなければなりません。

 

一方で、目下の中小企業・小規模事業者を取り巻く状況をみますと、物価高や人手不足といった数多くの課題に直面しています。業績の改善が伴わない中、人手を確保するための賃上げを迫られていると言われるように、依然として厳しい経営環境が続いています。

 

このような中でも、明るい兆しを全国に波及させ、好循環を継続するためには、中小企業・小規模事業者の皆様が活躍でき、物価高に負けない持続的な賃上げを実現できる環境を整えていくことが極めて重要です。

 

こうした認識のもと、中小企業庁としましては、中小企業・小規模事業者の賃上げ原資を確保するべく、「取引適正化の推進」「生産性向上支援」「成長投資支援」の3つを本年も強力に進めてまいります。

 

まず、中小企業庁は、公正取引委員会と連携し、本年も取引適正化の推進に全力で取り組みます。日本経済が転換期を迎えているにもかかわらず、昔ながらの取引構造やデフレ思考は日本社会に根強く染み付いています。「成長と分配の好循環」を達成するためには、価格転嫁対策を含む取引適正化をより一層強化していかなければなりません。具体的には、年に2回の「価格交渉促進月間」における「発注企業の交渉・転嫁の状況」の公表など、これまでの取組をより一層促進することに加え、下請法の改正や執行強化を実現してまいります。

 

こうした取組を通じて、中小企業にとって価格交渉・価格転嫁がしやすい環境を整備し、サプライチェーンの隅々まで取引適正化を浸透させてまいります。

 

また、中小企業・小規模事業者の「稼ぐ力」を強化するため、生産性の向上もより一層進めてまいります。特に、構造的な人手不足の中で「稼ぐ力」を高めていくためには、省力化投資による生産性向上が肝要です。そのため、昨年に引き続き、カタログから選ぶような簡易で即効性のある省力化投資支援を継続します。さらに、昨年の経済対策において、オーダーメイド形式も含めた全方位的な省力化投資支援が可能となる措置を行いました。現在も省力化投資補助金の随時公募を受け付けておりますので、ぜひご活用いただければと思います。

 

そして、コストカット経済から脱却の兆しを迎えている日本経済をさらに成長させていくためには、地域経済の屋台骨である中小企業・小規模事業者の成長を促進することが大変重要です。

 

特に、売上高100億円を超える「100億企業」は、直接輸出額や域内仕入高が大きく、賃金も高いなど、国内投資や地域経済を牽引していくような存在です。この「100億企業」を目指すような経営者・企業について、成長の後押しを行っていくことは、変革の時代を迎えている日本経済の更なる発展に寄与するものと確信しています。

 

そのため、中小企業庁は、令和6年度補正予算において、①大胆な設備投資を支援する補助金の創設や、②官民ファンドを通じたリスクマネーの供給、③多様な経営課題に対する支援などを盛り込んだように、100億企業の創出に向けた大胆な取組を進めてまいります。

 

一方で、持続的な成長・賃上げには事業継続の下支えも必要です。特に、経営者の高齢化が進み、多くの中小企業・小規模事業者の皆様が「後継者不在」という課題に直面しているかと思います。このような状況の中、貴重な経営資源を次の世代に引き継ぐ事業承継や、M&Aによる事業拡大は、経営者の若返りをもたらすことにより、これまでにないチャレンジを引き出し、生産性の向上や賃上げにもつなげられる重要な取組です。今後は、これまで講じてきた事業承継・引継ぎ支援策に加え、昨年8月に改訂した「中小M&Aガイドライン」を浸透・徹底し、中小M&A市場における健全な環境整備を進めてまいります。

 

さらに、多様な事業を創出し、地域の経済成長や雇用を支えている小規模事業者も、大変重要な存在であり、小規模企業振興基本計画の変更に向けた検討を進めてまいります。

 

また、本年は大阪・関西万博が開催されます。万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとし、世界中の来場者を出迎え、「未来社会の実験場」のコンセプトのもと、様々な最先端分野を発信・社会実装する機会となるものです。日本が世界の課題解決を主導して更なる発展の道筋を拓く契機として、その成功に向けて取り組んでまいります。

 

最後に、令和7年の干支である「巳年」は、一般に大きな変化や再生をもたらす年と言われていますが、とりわけ本年「乙巳(きのと・み)」は、努力を重ねて変化を繰り返しながら柔軟に発展していく年と言われます。中小企業・小規模事業者の皆様がこれまでのヘビー(巳)な環境を乗り越え「脱皮」を遂げ、新たなチャレンジへと踏み出し、成長を実現できるような環境を整えるべく全力を尽くしてまいる所存です。

 

本年が、皆様にとって実りある年となるよう心より祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。

 

令和7年元旦
中小企業庁長官 山下 隆一