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小規模企業には「伸び代」しかない!

  • 2020年09月18日
  • 相談・情報提供
  • 最終更新日:2024年06月04日
 

小規模企業のみなさま

新型コロナウイルスの感染拡大により、先行きが不透明な状況が続いています。
このようななかで、小規模企業がどのような姿勢・考え方でコロナ時代に対応するべきかについて、(独)中小企業基盤整備機構で中小企業支援アドバイザーとしてご活躍され、全国の小規模企業経営者と親交を深めてきた、(株)アテーナソリューション代表取締役の立石裕明氏とお話をいたしましたので、みなさまの経営のヒントにしていただければ幸いです。
※不定期に5回シリーズで配信させていただく予定です。
(中小企業庁 稲垣)

第1回 小規模企業には「伸び代」しかない!

<小規模企業とは>

小規模企業、

ようするに小さな会社、または個人事業主のことを、

私は愛情を込めて、

 

 

 

「父ちゃん母ちゃん企業」

 

と呼ぶことがあります。

 

というのも、小規模企業者の多くが、「お父ちゃんが社長で、お母ちゃんが専務という肩書きの経理」

という形態をとっているからです。

 

小規模企業イメージ

 

※小規模企業者ってなんだ?定義は中小企業庁ホームページをクリック。

https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html

 

 

なぜ、小規模企業者という呼び名ができたのでしょうか。
それは、以前からあった中小企業という名前が、父ちゃん母ちゃん企業の実態とかけ離れていたからです。

 

たとえばサービス業の場合、中小企業は資本が5000万円以下、または従業員100人以下が定義となっています。

 

つまり、多くの人が中小企業という言葉からイメージするのは、

小説『下町ロケット』の佃製作所のような会社です。

 

対して、小規模企業者は従業員20人以下となっています。

ほぼ家族経営の会社・個人事業主です。

 

定食屋さん、パン屋さん、八百屋さん、電気工事屋さん、雑貨屋さん……。

 

私達の生活は小規模企業者なくして成り立たないと言っても過言ではないくらい、全国至るところで活躍しているのが小規模企業者です。

 

実際、日本には大企業が全体の0.3%しかありません。残りの99.7%は中小企業です。

そして、その中小企業と言われる会社の約9割は、小さな小さな家族経営の会社。つまり小規模企業者です。

 

ただ、小規模企業者の実態、取り巻く環境は、『下町ロケット』の佃製作所とは異なります。

そこで、小規模企業者という言葉ができ、定義され、サポート体制が整えられてきたという経緯があるのです。

 

<どんぶり勘定が小規模企業者の強み>

 

小規模企業者は、長い間、苦しんできました。

まず、バブル崩壊以降の長引いた不況がありました。
日本各地で起きる災害にも苦しめられました。

少し景気が上向いてきたと思ったら、新型コロナという脅威が襲ってきました。

 

私のもとには、全国各地、津々浦々から小規模企業者の悩みが寄せられます。
北は北海道の知床半島から南は沖縄の離島まで、これまで1000回を超える講演・研修を行ってきました。出会った人は述べ5万人を超えるのではないでしょうか。
そのほとんどが、父ちゃん母ちゃん企業を経営する人たちです。

 

今も、全国各地からの連絡が絶えません。

観光客が減って閑古鳥が鳴き続けている。
営業時間の短縮で売上が厳しい。
お客さんと対面する機会が減って、商談の機会が減ってしまった。

小規模企業者は、特に地元の人と人とのつながりで成り立つことも多いため、人と会う機会が減ってしまうと、以前と変わらぬスタイルではむずかしいことも増えてきます。

 

ただ、それでも私は「小規模企業者には伸び代しかない」と考えています。

というのも、父ちゃん母ちゃん企業は、みんな「どんぶり勘定」だからです。

 

焼き鳥屋で一番数字が合わないのは、ビールと言われています。

 

理由は、

 

 

 

 

店主の親父が飲んでいるからです。

 

笑い話のようですが、現実的な話でもあります。
ビールを片手に焼き鳥を焼いたり、お客さんがはけた後に一杯ひっかけながら片付けをしたり。

そんなときに、自分で飲んだビールの伝票を記入するはずがありません

 

ビールイメージ

 

私が、社長の親父に原価率を尋ねると、だいたいこんな返答が返ってきます。

 

「だいたい3割から4割ですかね」

 

考えてみてください。

3割と4割では、10%も違います。

 

たとえば月の売上が100万円だとすると、3割の場合に手元に残るのは70万円(100万円−30万円)ですが、4割では60万円(100万円−40万円)に下がってしまいます。

10万円もの差が出てしまうわけです。

 

1年間に換算すると残るお金が120万円もの差になってしまうのに、

「3割から4割」とまとめて考えていいはずがありません。

 

年収が120万円増えたら、資金繰りも、生活も、絶対に楽になるでしょう。

 

資金繰りイメージ

 

さらに、私が「じゃあ調べてみましょうか」と束ねた伝票を調べてみると、3割どころか、

4割を超えていたりすることもあります。

 

ただ、これは逆に言えば、原価率を3割に抑えれば、

 

確実に年収120万円以上が増える

 

ということでもあります。

そして、この「数字を気にしながら仕入れをする」ことは、意外とかんたんにできることでもあります。

 

私が「今どんぶり勘定だから伸び代がある」と訴える理由は、ここにあります。

どんぶり勘定を改めれば、その改めた分、利益が増えていくのですから。

(次回へつづく)