中小企業庁 広報便り (中小企業支援策の原点を探る)
- 2025年07月25日
- 相談・情報提供
- 最終更新日:2025年07月25日
事業者のみなさまへ
中小企業庁です。
今回は、明治の農商務省官僚・前田正名(まえだ まさな)の仕事から、現代の中小企業支援策の原点を探ります。
(参 考:人物叢書『前田正名』(祖田修著/日本歴史学会)、前田著『興業意見』(1884年)など)
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150年前、横浜港
生糸を満載した船が西へと出港し、銀貨が日本に戻るも、その多くが欧米製品の輸入で再び海外へ流出。
「銀貨流出」と呼ばれる現象で国内に富が残らず、農村も都市も潤わない時代でした。
「このままじゃ、日本は力をつける前に搾り取られる…」
そう危機感を抱き、立ち上がったのが前田正名。
彼は言いました。
「日本を救う道は、外で稼ぐことだ。
世界で通用する産業をゼロからつくるしかない。」
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フランスで掴んだ“武器”
前田はフランスで7年、農業経済・協同組合・最新機械・種苗などを学び、パリ万博で世界市場を体感。
帰国後、農商務省(のちの中小企業庁や農水省の源流)で輸出や産業振興政策を推進しました。
「見てきた技術も仕組みも、日本に移す。
農家や産業を、世界で通用する形にするために。」
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特産品を“世界の商品”へ
静岡の茶、群馬の生糸、山梨のぶどう、台湾の砂糖…。
前田は地方を巡り、生産者を組織し、協同組合を設立。海外仕様パッケージを開発し、洋式製糸機械を導入・国産化。
海外見本市での発信も行い、情報を全国へ届けました。
「努力して作ったものを、世界が買う時代をつくる。
そのための道具や販路は、俺が動かす。」
こうして、輸出で得た富を国内に残し、日本の産業基盤を強める仕組みが築かれました。
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町村是運動と地域づくり
農商務省を退いた後も、宮崎での開田事業や「町村是運動」を展開。
村単位で産業計画を立て、協同組合を軸に農家を支援。
外交や関税問題にも奔走し、「地域から国を強くする」発想を根付かせました。
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150年後の今
人口減少で市場が縮小するなか、
「外国に売る」「外国人に届ける」ことが中小企業の成長の鍵になっています。
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・岐阜の包丁や美濃焼の海外販売+体験観光
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・静岡の抹茶の輸出
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・京都の染物体験の訪日客向け展開
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・福岡の焼酎や北海道乳製品のブランド化
150年前の前田の挑戦とつながる動きが、各地で広がっています。
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一歩踏み出すとき
新しい市場を開きたい。
利益を増やしたい。
人手不足を補いたい。
賃金を上げたい。
中小企業庁の支援策は、“守り”だけでなく“攻め”の手段にもなります。
150年前の挑戦を、今のあなたの一歩につなげませんか?
詳しくは「中小企業庁ミラサポplus」でご確認ください。
筆者:経済産業省 中小企業庁 長官官房 総務課 広報 稲垣行弘
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海外展開にも使える主な支援策
小規模事業者持続化補助金
海外向けネットショップ開設などに活用可能
IT導入補助金
海外顧客とつながるオンライン販売や多言語サイト整備なども支援
ものづくり補助金
海外需要を見すえた設備投資や製品開発に対応
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日本貿易振興機構(JETRO)
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