中小企業向けの「AI導入ガイドブック」及び「外部AI人材との協働事例集」
- 2021年03月31日
- 相談・情報提供
- 最終更新日:2024年08月29日
(中小企業庁 稲垣)
事業者のみなさま
中小企業がAIを導入する際のノウハウをまとめた「中小企業向けAI導入ガイドブック」と、中小企業が社外のAI人材と協働して課題解決を行った事例を掲載した「中小企業と外部AI人材との協働事例集」を取りまとめました。
1.背景
AI戦略2019において、我が国の全体としての生産性の大幅な向上が求められる中でも、とりわけ、大企業と比して低水準にある、中・小規模事業者の労働生産性の向上は、喫緊の課題であること、そのため、中小企業の生産性の抜本的改善が期待される、AI等の先端技術の実装による解決を進めていくことが不可欠であるとされています。
このような中で、経済産業省では、中小企業のAI導入を促進するための取組を進めています。2019年度には、中小企業のAI活用におけるニーズを調査し優先的に導入を進めるべき業種・工程(以下、「優先領域」)を明らかにしました。2020年度には、「AI人材連携による中小企業課題解決促進事業」を実施し、優先領域においてAI実装スキルを持つ人材の育成(課題解決型AI人材育成「AI Quest」)やコミュニティ形成を行うとともに、中小企業と育成した人材とが協働して課題解決にあたるプロジェクトを実施しました。
取組で得られた知見を活用して、中小企業がAIを導入する場合を以下の2パターンに分け、それぞれの参考となるような資料を取りまとめ、公開することとしました。
- 中小企業が自らAIを導入する場合
- 中小企業自身だけでは難しく、AI実装の知見を持つ外部人材と協働して導入を進める場合
2.「中小企業向けAI導入ガイドブック」
中小企業におけるAI活用のニーズが高く、優先的に導入が必要だと考えられた以下の2つの領域をテーマとして、実際に企業がAIを導入する過程を経ながら、ノウハウを「AI導入ガイドブック」としてまとめました。
①需要予測(小売業、卸業における売上や天気等のデータを活用した分析等)
②外観検査(製造業の検品工程における画像認識の技術を用いた効率化等)
例えば、外観検査については、製造工程で不良品が十分出ている場合(不良品あり)と、不良品がほとんど出ていない場合(不良品なし)、のそれぞれに分けて、以下のような内容を整理しています。
- ●業務フローにAIをどう組み込むか
- ●画像データ撮影方法
- ●費用と効率化効果 など
類似の課題を抱える企業が広く活用できることを目指し、内容の継続的な改善、周知・展開等を図っていきます。
3.「中小企業と外部AI人材の協働事例集」
東京都、静岡県、大阪府、岡山県の中小企業6社と、社外のAI人材4~5人からなるチームが、それぞれオンラインで協働して課題を解決するプロジェクトを実施した結果を、「協働事例集」としてまとめました。
例えば以下のような事例について、課題の概要、構築したAIモデルの概要や定量的な業務削減効果・業績改善見込み等が掲載されています。
(事例1)スーパーマーケット運営事業者が、過去の売上や気温等のデータも用いて、特定の食料品の売上金額を予測
→従来、各店舗がそれぞれ人力で実施していた需要予測作業を本部のAIに集約することにより、工数削減を実現。
(事例2)部品製造事業者が、取引先から受ける内示(数カ月後の発注数の概算通知)について、過去データから内示のズレを予測し、将来の受注量を精緻に予測
→対象とした製品の多くで、需要予測の精度が向上。AIによる予測と実際の発注数の誤差が、内示と実際の発注数の誤差の半分以下となったケースも存在。
今後とも、経済産業省では、AI導入ガイドブックの拡充・展開や、企業とAI人材による協働のための環境整備等を通じて、より多くの中小企業のAI活用による生産性向上を促進してまいります。
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